母に言われた。
「あんたは、すごく日本人らしいね!」
留学手続きの上手くいかないことを相談していたときだった。
「コロナのせいで、留学手続きがうまくいかないかもしれない…
もしかしたら奨学金が取り消されるかもしれない…
私になにができるかな。
どうしよう」
ともぞもぞ相談していた。
そしたら、だんだん母が腹を立てたようでこう言った。
「なんで、その手続きの枠内で許してもらおうとするの?
コロナなんて誰も予想できなくて、今はすべてがすべて例外なんだから、既定のルールの枠内で収めようとしてちゃ、何もうまくいかないよ!
『枠内でなんとかなりますかね?』なんて聞き方を事務方にしていたら、『この人は留学に行きたくないのかな』って思われるよ。
『コロナのせいで仕方ないんです!』ってもっとアピールしないと。」
私はもぞもぞ「ああ…」と言った。
「なに、まだ何かで悩んでるの?」と上ずった声で聞いてきた。
私はひとこと答えた。
「いや、ただ、今まで悩んできたことが馬鹿らしくなった。」