電車に乗って私はつり革に掴まり、目の前に座っていた女性の靴をすこし蹴ってしまった。
ゴールドラメのかわいいパンプス、オフホワイトのワントーンコーデ、きれいなアイメイク
どれだけ時間をかけたんだろう。つい今朝にかけた時間だけでなく、肌やメイクやスタイルをこのレベルまで持ってくるのに。
私がなかなかそういう面にエネルギーを向けられない人間だから、自分ががんばれないことをがんばっている女性を目の間にして泣けてきてしまった。
「どれだけのお金や時間を”犠牲に”」ってつい思ってしまったけど、本人は犠牲だなんて微塵も思っていないかもしれないんだよね。
私でさえ毎日髪を巻いてセットしている、好きでやっている。
何かを犠牲にしているつもりはない。
そういう人は多いだろう。
でも、その一方で、強いられて仕方なく”犠牲”をつくって、毎朝メイクしてジムや脱毛サロンに通っている人だっているんだろう。
かわいそうだ。
やりたくもないことに、時間やお金やエネルギーを費やすなんてかわいそうだ。
ふと電車内を見渡したら、みんなかわいそうに見えた。
スマホを無表情で眺めている大人
虚空を見つめているサラリーマン
やたら動く人を鬱陶しげに一瞥する大人
スマホに飽きて窓の外を見やる女性
みんな不幸せそうに見えて仕方がない。
2020年世界幸福度ランキング 日本は62位
やりたくないならやらない方がいい。
自分も、相手も、あの人も