漫画「ダブル」に触発されて深夜23時につかこうへい「飛竜伝'90 殺戮の秋」をみて泣いた

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漫画「ダブル」4巻を読んで、

じぶんの古典作品に対する知識が足りなくて、ぜんぜんよくわからなくて、

ネット上じゃプラトン「饗宴」は読めなくて

とりあえず何か「ダブル」を理解する手助けになる作品をみたい、

そう思ってひとまず「初級革命講座 飛竜伝」と検索した。

ほんとうにみたかった「初級革命講座 飛竜伝」はみつけられなかったが

ひとまず「飛竜伝」と名の付く映像をみてみた。

2時間半もあるとは確認していなかった。

見始めてすぐ、これは「ダブル」の中で演じられている「飛竜伝」ではないな

(実際、飛竜伝’90は大幅改定版だったらしい)

と気づいたが、主人公の神林美智子のかわいさと強さから目を離せなかった。

それと、舞台演出のカッコよさ、

ストーリー転換の大胆さ、

なにより私が生まれる20年以上も過去の、しかし鮮烈な安保闘争という血と命が輝く題材に、

グイグイと引き込まれておしまいだった。

 

よふかししたくなかったんだけどな~~~

 

染みみたいな、ぼやけが目立つ映像

正直、舞台奥の役者のようすはまったくわからない。

セリフもすべては聞き取れない

 細かい表情もみえない

聞きなれない言葉も多い

知らない時代

知らない思想

知らない衝動

 

わかりきれない所は多いが、しかしそれでも何とか拾えるところは拾おうと、

必死に目をこらし、耳を澄ました。

 

神林美智子の豹変っぷりは超かっこいい

丸メガネにぼやかされていた印象が

一瞬でキリリと、強く鋭い視線に生まれ変わる。

かわいい声

きゅるきゅるした歩き方

カツカツした歩き方

ビシバシなぎ倒す手刀

身体の線

委員長としてのハリのある一声

恋人として、奥さんとしての酷くやわらかい声

アイドルみたいな歌声

じぶんの魅せ方をわかってる顔やからだの角度

 

終始本当に同一人物?

 

彼女をもっと見ていたくて眠い目をこすって画面にへばりついた。

 

 

愛だった。

愛に泣いた。

正直、桂木はクソ。

全体的に男性陣みんな女を「抱く物」としてしか見てなくて今の感覚でみればほんとにクソ。

でもその前近代的な思考すらも鑑賞物として刺激的。

山崎は惚れる。

山崎の誠実さはよい。

性欲もまっすぐすぎてクソだが。

山崎と美智子の愛に涙が流れた。

まさか泣くとは思ってなかった。

限界的な状況で、敵同士という立場に引き裂かれる愛って、王道だけど結局泣いちゃうんだな。

 

山崎と子どもへの愛を最大限伝える、母親としての強さとやさしさがある美智子と

全学連40万人を率いる強さの化身としての委員長である美智子。

一瞬で切り替わる視線のつよさに、ゾクゾクした。

 

2時間半ほとんど舞台に出ずっぱり。

舞台上に生きていて、心底たのしいだろうなあ。

女として、上に立つ者として、恋人として、奥さんとして、母親として、友として、(ときにはアイドルとして)

美智子のすべての顔を2時間半で経験しきった。

きもちいだろうなあ。

 

「ダブル」の今切愛姫は、こんな女の子をイメージしてるのかなあ