どんな人生を経験したら、これほど生々しいキャラクターを描けるんだろう。
人間としてあまりにも生々しい。
残酷で
自分本位で
人にやさしくするのが下手で
がんばり方の方向性がおかしくて
自分のことを認めるために必死で
他人に自分の価値を転嫁する
自分の都合のいいように考える
無理に笑おうとしてもうまくできない
確かに現実世界と比べれば、倫理観のタガは外れているが、
あまりにも個の人間としては、人間らしい。
とくに、カバー裏。
2人のキャラクターの対談が掲載されている。
「幸せとはなにか」「(オメガバーズの世界での)運命とはなにか」
といったトピックについて、2人の人間の思想が披露されている。
正直、2人の間に会話のキャッチボールは成り立っていないように思えたが、
ともかく一人一人のものの考え方や価値観があまりにも確立している。
作者というひとりの人間が、ここまで別個の人間の思想を交互に書けるものなのか?
なんなら、ひとり分ずつ書いたんじゃないかと疑るぐらいに。
すべての創作物は作者の人間性を投影するが、
「さよなら恋人、またきて友だち」シリーズほどに、作者の底が知れない作品はないんじゃなかろうか。
だからこそ、きっとまた次巻も手に取ってしまうのだ。